口臭は「年のせい」だけではない
犬や猫の口臭は「年のせい」で片づけられがちですが、体からの大切なサインであることも多いといわれています。口を開けたときのにおいの変化は、飼い主が気づきやすいサインのひとつで、よだれの増加とあわせて見ておきたい様子です。背景にあるもの、あわせて注意したいサイン、おうちでのチェックのしかたと受診の目安を順に確認します。
受診の目安
口臭が急に強くなったときや、食べにくそうにする・歯ぐきが赤く腫れるなどのサインがあるときは、受診を考えたいタイミングです。
この記事でわかること
- 口臭の背景にあるもの
- あわせて注意したいサイン
- おうちでのチェックと、受診の目安
口臭の背景にあるものは?
口臭の背景としてまず多いといわれているのが、歯周病です。歯垢や歯石がたまることで歯ぐきに炎症が起こり、独特のにおいが生じるとされています。加えて、口内炎や、消化器・内臓の不調が口臭に影響しているケースもあります。
年齢を重ねるほど歯周病のリスクは高まりますが、若い子でも油断はできません。歯垢は数日で歯石に変わり、一度歯石になると、歯みがきだけでは取り除くことが難しくなります。歯石の表面はざらついているため、さらに歯垢がつきやすくなり、悪循環が起こりやすくなります。
小型犬や短頭種は歯が密集しやすく、歯周病になりやすい傾向があるともいわれています。シニア期に入ると、歯周病の進行も早まる傾向があります。
あわせて注意したいサイン
口臭に加えて、次のような様子が見られるときは、受診を考えたいサインです。
- 食べにくそうにしている、片側だけで噛んでいる
- 口のまわりを触られるのを嫌がるようになった
- よだれの量が急に増えた、色が変わっている
- 歯ぐきが赤く腫れている、出血している
- 歯ぐきの色が普段と違う(赤み・白っぽさなど)
- 口を気にして、前足で顔をこする仕草が増えた
おうちでのチェック
口の中を毎日じっくり確認するのは難しくても、食事のときの様子や、口を触ったときの反応を見るだけでも、変化に気づくきっかけになります。歯みがきの習慣がある子は、歯ぐきの色や腫れもあわせて確認できます。
歯みがきに慣れていない子に、無理強いをする必要はありません。歯みがきシートやマウスケア用のジェルなど、歯ブラシ以外のケア方法もあります。無理に口を開けさせようとすると、口を触られること自体を嫌がるようになる場合があるため、できることから少しずつ慣らしていく方法があります。こうした日々の積み重ねが、将来の歯科ケアの負担を減らすことにもつながります。
受診の目安と、診察でわかること
口臭が急に強くなったときや、前の項目のようなサインが見られるときは、受診を考えたい目安です。歯石の状態や歯ぐきの炎症は、見た目だけでは判断が難しいこともあります。歯石除去などの処置が必要かどうかは、口の中の状態を直接確認したうえで判断されます。全身麻酔が必要になる場合もあるため、事前に相談しておくと安心です。
歯周病は進行すると、歯ぐきの炎症だけでなく、体のほかの部分にも影響を及ぼす場合があるといわれています。口臭は、消化器や内臓の不調のサインであることもあるため、歯の状態だけでなく、全身の様子もあわせて診てもらえます。日頃からの歯みがきなどのケアが、口臭の予防にもつながります。
まとめ
口臭が急に強くなる、食べにくそうにする、口を触られるのを嫌がる、歯ぐきが赤く腫れるといった様子は、受診を考える目安です。口臭は気づいたときが、歯や全身の様子を確かめるタイミングです。家族で気づいたことを共有しておくと、診察の手がかりになります。
獣医師 宍戸優太