犬・猫の「多飲多尿」とは
「最近、水を飲む量が増えた気がする」「おしっこの量や回数が増えた」——こうした変化は、動物医療で「多飲多尿」と呼ばれ、体の中で何らかの変化が起きているサインといわれています。この記事では、考えられる背景と、来院前にご自宅でできる備えをご紹介します。
犬や猫がふだんより明らかに水をよく飲み、おしっこの量や回数が増えたと感じる状態は、「多飲多尿」と呼ばれています。目安として、体重1kgあたり1日100ml以上の水を飲んでいる場合は多飲の可能性があるといわれていますが、気温や運動量によっても変わるため、まずは「いつもと比べてどうか」という視点で見ていただくとよいとされています。多飲多尿はそれ自体が病気というわけではなく、体のどこかに変化が起きていることを示すサインのひとつと考えられています。
考えられる背景
多飲多尿の背景には、さまざまな要因が関わっているといわれています。代表的なものとして、次のようなものが挙げられます。
- 腎臓が尿を濃縮する働きが低下する慢性腎臓病
- 血糖値の調整がうまくいかなくなる糖尿病
- 副腎や甲状腺など、ホルモンの分泌に関わる病気(クッシング症候群・甲状腺機能亢進症など)
- 避妊手術をしていないメスにみられる子宮蓄膿症
- 肝臓の病気
これらは診察や血液検査、尿検査などを通じて確認していく必要があり、症状だけで特定の病気を断定することはできません。特にシニア期の犬や猫は、こうした病気が起こりやすい傾向があるといわれているため、多飲多尿のサインに気づいたら早めのご相談をおすすめします。
様子を見てよい場合と、注意したいサイン
次のような場合は、体質や環境による一時的な変化であることが多く、まずは様子を見ていただいても大きな心配はないといわれています。
- 気温の高い時期に、飲水量・尿量がやや増えている
- 運動量が増えた、フードをドライからウェットに変えた直後
- 食欲や元気、体重に大きな変化がない
一方で、次のような様子がある場合は、早めのご相談をおすすめします。
- 水を飲む量が以前よりあきらかに増えた状態が数日以上続いている
- おしっこの量・回数が増え、粗相をするようになった
- 体重の減少や食欲の変化を伴っている
- 飲んでもすぐにトイレへ行きたがる
ぐったりしている、食欲がまったくない、嘔吐を繰り返すといった様子を伴う急な多飲多尿がみられる場合は、様子を見ずに早めにご連絡・ご来院ください。
ご自宅でできること — 飲水量・尿量の記録
多飲多尿が疑われる場合、来院前にご自宅で次のような記録をとっていただくと、診察の際に役立ちます。
- ふだん使っている水飲み用の容器に毎回同じ量の水を入れ、24時間でどのくらい減ったかを計量カップなどで確認する
- 複数頭で飼育されている場合は、可能であれば個別に給水し、頭数ごとの飲水量を分けて記録する
- トイレの回数・量(猫砂の重さの変化、シートの濡れ具合など)をメモする
- 体重の変化も、あわせて記録しておく
正確な飲水量の測定が難しい場合でも、「以前と比べて増えた・減った」という感覚的な情報だけで診療の参考になることもあります。無理のない範囲で記録してみてください。
ご来院前の準備
記録したメモがあると、診察がよりスムーズに進みます。可能であれば、次のようなものをご持参ください。
- 飲水量・尿量・回数を記録したメモ
- 可能であれば、当日の朝の尿(清潔な容器に入れたもの)
- 普段与えているフードの種類・量
- お薬を服用中の場合は、お薬手帳やパッケージ
ご来院いただいた後は、血液検査や尿検査で体の状態を確認していきます。原因によって対応が異なるため、まずは検査を通じて背景を確認していくことが大切だといわれています。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください
「年のせいかもしれない」「様子を見ればよいのか迷う」というときも、遠慮なくご来院ください。気になる様子が続く場合は、次のご来院時にご相談ください。