おしり歩き・しきりになめる仕草は何のサイン?
床におしりをこすりつけて歩く、しきりに気にしてなめる「おしり歩き」は、犬でよく見られる仕草のひとつです。多くの場合は肛門腺(肛門嚢)が関係しているといわれています。肛門腺とはどんなものか、ほかにどんな背景が考えられるのか、おうちでの対応と受診の目安まで、順に見ていきます。
受診の目安
おしりを気にする様子が頻繁に見られるときや、赤み・腫れ・出血を伴うときは、受診を考えたいタイミングです。
この記事でわかること
- おしり歩きと肛門腺の関係
- 肛門腺以外に考えられる背景
- おうちでの対応と、受診の目安
肛門腺(肛門嚢)とは?
肛門の左右にある肛門腺には、においのもととなる分泌液がたまる袋があります。通常は排便時に自然と排出されますが、うまく出しきれずにたまると、かゆみや不快感からおしりを気にする仕草につながるといわれています。頻繁に地面にこすりつけたり、尾の付け根を気にして振り返ったりする様子が見られることもあります。いつもより頻繁に見られる場合や、なめる時間が長くなっている場合は、よく見ておきたい変化です。
分泌液がたまりやすいかどうかには、体格や個体差が関係しているといわれ、小型犬でたまりやすい傾向があるとされています。定期的に絞る処置が必要な子もいれば、ほとんど気にしなくてよい子もいます。猫でも起こることがありますが、犬に比べると頻度は少ないといわれています。
たまった状態が続くと、炎症を起こしたり、まれに破裂したりすることもあるため、繰り返し気にする様子があれば、早めの対応が安心です。分泌液の色や粘り気には個体差があり、正常な状態を知っておくことも、変化に気づく手がかりになります。
そのほかの背景は?
おしりを気にする仕草は、肛門腺以外にも、皮膚の炎症やかゆみ、寄生虫、下痢が続いたあとの肛門まわりの汚れなど、さまざまな背景が考えられます。肛門のまわりに赤みやただれがある場合は、皮膚トラブルの可能性もあります。
長毛種では、被毛が汚れに絡まって不快感につながることがあります。肥満気味の子は、肛門腺のまわりの脂肪が影響して、分泌液が出にくくなることもあります。
おうちでの対応と注意点
気になる様子が見られても、家庭で無理に絞ろうとするのは避けたい対応です。位置や力加減を誤ると、痛みを与えたり、炎症を悪化させたりすることがあります。
- おしりまわりを清潔に保つ
- シャンプーやトリミングのときに、様子もあわせて確認してもらう
- ケージや床材を清潔に保ち、皮膚への刺激を減らす
おしりまわりを清潔に保つことは、皮膚トラブルの予防に役立ちます。
受診の目安
おしりを気にする様子が頻繁に見られるときや、赤み・腫れ・出血を伴うときは、受診を考えたい目安です。肛門腺の状態は、診察で直接確認しながら対応できます。においが急に強くなった、座り方がぎこちないといった様子も、診察で伝えたい情報です。
肛門腺の分泌液がたまりやすい子は、定期的なケアのタイミングを診察で相談しておくと、たまりすぎる前に対応しやすくなります。
まとめ
おしり歩きや、おしりをなめる仕草は、日常的に見られることも多い一方で、頻度や様子の変化には気を配りたいサインです。頻繁に見られる、赤み・腫れ・出血を伴う、においが急に強くなったといった場合は、受診を考える目安です。普段のにおいや座り方との違いを、よく見ておくことが早めの気づきにつながります。
獣医師 宍戸優太